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椎体骨折・圧迫骨折と椎体変形の定義と鑑別

椎体骨折、圧迫骨折、椎体変形の定義の違い、MRI所見による急性・陳旧性の鑑別法、および多発性骨髄腫との鑑別ポイント。

椎体骨折・圧迫骨折と椎体変形の定義と鑑別

用語の定義と関係性

  • 椎体: 背骨を構成する1個1個の骨のうち、前側にある円柱状の「本体」部分。
  • 椎体骨折: 椎体に起こる骨折全般(圧迫骨折・破裂骨折などを含む)の総称。
  • 圧迫骨折: 上下方向の力で押しつぶされ、前方がつぶれて楔状に変形するタイプの椎体骨折。多くは骨粗鬆症の高齢者で、軽い外力でも発生し、背骨の椎体が扁平・楔状に潰れた状態になる。
  • 椎体変形: 「椎体の形が正常ではなくなっている」ことを画像所見として述べる表現。原因は圧迫骨折に限らず、急性・陳旧の圧迫骨折、破裂骨折後の変形、骨粗鬆症による徐々の圧潰、転移性骨腫瘍などを含む。
  • 関係: 「椎体骨折」という大きな枠の中に「圧迫骨折」があり、その結果として背骨のレントゲン上に「椎体変形」が見られる包含関係にある。「椎体変形=必ず急性圧迫骨折」とは限らない。

MRIによる急性・陳旧性圧迫骨折の鑑別

  • 基本的な考え方: 急性〜亜急性骨折では骨髄浮腫が強く、陳旧性骨折では浮腫が消失し瘢痕化・脂肪変性が主体となる。
  • 急性(新鮮)圧迫骨折のMRI所見
    • T1強調像: 椎体内部の正常骨髄の高信号が低信号に置き換わり、びまん性〜斑状の低信号(骨髄浮腫)。
    • STIR像/脂肪抑制T2強調像: 骨折椎体内が高信号(白く光る)となり、「新鮮な圧迫骨折を示す所見」とされる。
    • 付随所見: 椎体前方や周囲の軟部組織に浮腫性の高信号、終板沿った骨折線と思われる低信号帯など。
  • 陳旧性圧迫骨折のMRI所見
    • 骨髄浮腫の消失: T1・T2・STIRで急性期のようなびまん性高信号は見られず、周囲椎体の信号とほぼ同様か、脂肪変性によりT1で高信号になる。
    • 形態変化が主体: 椎体高の低下、楔状変形・扁平化、脊柱全体の後弯などの形態異常は残るが、骨折による浮腫性変化は乏しい。
    • 骨皮質の再構成: 終板の骨折線が不明瞭化し、皮質が連続して見えるなど治癒後のリモデリングを思わせる所見。
  • 判定プロセス
    • 臨床情報(受傷機転、痛みの発症時期)と画像所見の統合。
    • 過去画像との比較(新たに生じた椎体高の低下や形態変化か)。
    • フォローアップMRI(初期に判断困難な場合は2〜3週間後の再検で浮腫の変化を確認)。

骨髄腫・転移性病変との鑑別

  • 多発性骨髄腫などの椎体病変
    • MRI所見: T1低信号+T2/STIR高信号の「結節状・腫瘤状」病変が椎体内に多発。進行例では硬膜外腫瘤として脊柱管内へ突出する。
  • 骨粗鬆症性圧迫骨折との違い
    • 圧迫骨折: 典型的には骨折椎体に一致した骨髄浮腫(T1低信号+STIR高信号)が出現し、時間とともに正常信号に戻ったり脂肪変性を呈したりする。多発しても「結節」というよりは形態変化が主体。
    • 転移・骨髄腫: T1低信号病変が出現し、自然に正常信号に戻ることはなく、増大・新規病変出現が見られる。椎体内の骨髄浸潤パターン(結節型/びまん性)を示す。
  • 鑑別のポイント
    • 椎体のどの層にあるか: 腫瘍は椎体内部の骨髄に結節・斑状のT1低信号が出てくる。骨折は形態変化が主体。
    • 時間経過: 圧迫骨折由来の浮腫は経時的に改善・消失しうるのに対し、骨髄腫の病変は治療前に自然に正常化することは原則ない。
    • 他部位: 多発性骨髄腫では脊椎以外の骨にも類似の骨髄病変がみられることが多く、全身評価が重要。
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