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辺縁帯リンパ腫(Marginal Zone Lymphoma)

辺縁帯リンパ腫(MALT、節性、脾性)の病態、分類、診断・治療方針と予後を解説した医学記事

辺縁帯リンパ腫(Marginal Zone Lymphoma)

概要

  • B細胞由来の低悪性度非ホジキンリンパ腫。進行は比較的ゆっくりで、他の悪性リンパ腫に比べ予後は概ね良好。
  • 好発は高齢者。悪性リンパ腫全体の中では頻度は低い。

病型の分類

発生部位により大きく3病型に分類される。

節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)

  • 胃、小腸・大腸、肺、眼付属器、唾液腺、甲状腺、乳腺などの粘膜関連リンパ組織から発生。
  • 10万人あたりの罹患数:約1.59人

節性辺縁帯リンパ腫

  • リンパ節原発。
  • 10万人あたりの罹患数:約0.83人

脾辺縁帯リンパ腫

  • 脾臓原発で、しばしば脾腫や末梢血異常を伴う。
  • 10万人あたりの罹患数:約0.25人

原因・関連因子

  • 多くは体細胞遺伝子変異によるがん遺伝子活性化が背景と考えられる。
  • 一部のMALTリンパ腫では慢性感染・慢性炎症が重要。
    • 胃MALT:Helicobacter pylori
    • 眼付属器:Chlamydia psittaci
    • 小腸:Campylobacter jejuni
    • 甲状腺:橋本病など自己免疫性甲状腺炎

症状

病型・発生部位によりかなり異なる。

節外性(MALT)

  • :上腹部不快感、消化不良、出血など
  • 眼付属器:無痛性腫瘤、眼球突出、視力障害
  • :咳嗽、陰影のみで無症状のことも多い

節性

  • 無痛性リンパ節腫大、全身倦怠感など。B症状(発熱、体重減少、大量寝汗)がみられることもありますが、低悪性度なので出ない症例も多い。

脾性

  • 脾腫、左季肋部違和感、血球減少など。

検査・診断

  • 基本:病変部の生検による病理診断(リンパ節、胃粘膜、脾臓など)。
  • 鑑別:免疫染色・フローサイトメトリーでCD20陽性などの成熟B細胞マーカーを確認し、他のB細胞リンパ腫との鑑別を行う。
  • 病期診断:造影CT、PET-CT、骨髄検査。胃MALTでは上部消化管内視鏡・EUS等を組み合わせる。

治療方針

病型・病期・症状・全身状態で大きく変わる。

経過観察(Watchful Waiting)

  • 低腫瘍量で無症状の場合を選択。直ちに治療しないケースも少なくない。

胃MALTリンパ腫(限局期)

  • H. pylori陽性なら除菌療法が第一選択。相当数がこれのみで完全寛解する。

放射線療法

  • 限局した節外性病変(眼付属器・唾液腺・限局胃病変の一部など)では根治的放射線照射が高い局所制御率を示す。

免疫化学療法

  • 進行期、症候性、骨髄浸潤、多発病変などでは抗CD20抗体(リツキシマブ)単剤またはR-CHOP、R-bendamustineなどの併用療法が用いられる。

分子標的薬・経口薬

  • 再発・難治例ではイブルチニブなどBTK阻害薬、レナリドミド等が選択肢となる。

予後

  • 一般に低悪性度で長期予後は比較的良好。米国データでは10年生存率が以下の通り。
    • 節外性MZL:84.7%
    • 節性MZL:67.3%
    • 脾MZL:62.7%

形質転換

  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫への形質転変を来すと経過は急速化し、治療戦略も変わる。

日常生活・フォロー

  • 感染症に注意しつつ、定期的な診察・血液検査・画像検査で病勢をモニタリングする。
  • 免疫抑制状態になりうる治療(抗CD20抗体、化学療法など)の際は、ワクチン・感染予防、二次がんスクリーニング等が重要。
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