Featured image of post グループG溶血性連鎖球菌と劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)

グループG溶血性連鎖球菌と劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)

グループG溶血性連鎖球菌の菌学特性、Lancefield分類法、および劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の診断・治療について解説

グループG溶血性連鎖球菌と劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)

グループG溶血性連鎖球菌の概要

  • 菌学特性: グラム陽性球菌、血液寒天培地上でβ溶血を示し、Lancefield分類でG群に属する
  • 代表菌種: Streptococcus dysgalactiae subsp. equisimilis(C・G群溶血性連鎖球菌、SDSE)
  • 常在部位: 皮膚、鼻咽腔、膣など
  • 感染経路: 常在菌から侵入して感染症を起こす

臨床像とリスク因子

菌血症

  • β溶血性連鎖球菌菌血症全体のおおむね1割を占める
  • 高齢者・悪性腫瘍などの基礎疾患を持つ患者で頻度が高い
  • 院内発症例では感染巣が特定できない症例が多い傾向

臨床像(国内報告)

  • 蜂窩織炎: 約53%(最も多い)
  • 感染巣不明の菌血症: 約14%
  • G群・C群による感染性心内膜炎はまれ(1%未満)

劇症型溶血性連鎖球菌感染症(STSS)

  • A群ほど頻度は高くないが、G群でも起こり得る
  • 死亡率3.3〜17.3%程度(高齢・基礎疾患ではより高い)

Lancefield分類について

概要

  • レンサ球菌などの細胞壁多糖体抗原に基づいた血清学的分類法
  • Rebecca C. Lancefieldが1930年代に提唱
  • β溶血性レンサ球菌の糖鎖抗原に対する抗血清との凝集反応で群別する

臨床的意義

  • A群: 咽頭炎、猩紅熱、壊死性筋膜炎、リウマチ熱の原因菌
  • B群: 新生児敗血症・髄膜炎、産褥感染の原因菌
  • C・G群: 咽頭炎、蜂窩織炎、菌血症、STSSの原因菌(S. dysgalactiae subsp. equisimilisなど)

実務上の注意点

  • 16S rRNA分類が主流だが、臨床微生物学ではLancefield分類も日常的に使用される
  • 同じ菌種でも複数群に分類されることがあり(例:S. dysgalactiaeはC・G群など)

STSSの診断と治療

原因菌

  • A群溶血性レンサ球菌が最多だが、B群・C群・G群由来のケースもある

症状の特徴

  • 初期: 高熱、悪寒、全身倦怠感、四肢(特に下肢)の激しい痛みや腫脹、血圧低下
  • 進行: 数十時間のうちに軟部組織壊死(壊死性筋膜炎)、DIC、多臓器不全(腎・呼吸・肝不全など)へ進展

診断基準

  • ①ショックまたは多臓器不全などの臨床像+②通常無菌の部位からのβ溶血性レンサ球菌の分離

治療

  • 抗菌薬: ペニシリン系(ペニシリンG静注)をベースに、クリンダマイシン併用(毒素産生抑制目的)
  • 外科的処置: 壊死組織の早期かつ広範な切除(壊死性筋膜炎など局所壊死を伴う場合)
  • 重症管理: ICUレベルでの全身管理(輸液・昇圧剤・人工呼吸・透析など)

予防と受診目安

  • 飛沫感染・接触感染・創部からの感染が主な経路
  • 「高熱+四肢の急な強い痛みや腫れ」「急速に悪化する全身状態」があれば速やかに医療機関を受診
Licensed under CC BY-NC-SA 4.0